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マリア様はみてた

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    2021-02-09
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作者コメント:

車はひっそりとした海沿いの道を走っていた窓からは水面がキラキラと輝いているのが見えたまだ海と空は真夏の暑さを残していた小松崎梨絵は父・悠介の運転する車で母・美和子と、彼女の転校先である聖アザレア女学園へと向かっていたカーステレオからはモーツァルトのピアノ協奏曲が流れていた「(パパの好きな曲だわ・・・今朝のパパ本当に寂しそうだった・・・でも仕方ないことなのパパには本当のことは絶対に言わないでおこう。許してね、パパ)」「梨絵、いいこと!? これから行く学校は厳格なカトリック系の学校なのよ。今までの共学とはわけが違いますからね。あなたみたいなおっとりした娘が馴染めるかどうか、ママは本当に心配で、心配で・・・先生やシスターの仰ることをよく聴いて、ちゃんとするのよ!」ぼんやりと考えていた梨絵の耳に母・美和子の声がした「うん・・・」梨絵はぼんやりとうなずいた「ママは心配性だからな。しかし・・・あの学校に行きたいと言い出したのは梨絵だし・・・そんなに気にすることもないだろう」父・悠介がルームミラーに映る梨絵の顔をチラッと見て笑った「そうね、あそこは女の子ばかりの全寮制の学校だから悪い虫はつかないわね。今までの共学よりは安心かしら」「ママったら・・・」梨絵の顔がふと曇った「(ママのせいよ、こうなったのは・・・可哀想なパパ・・・パパったら何も知らないんだもの・・・)」後部座席に座る梨絵からは美和子の白い襟足に絡むパールのネックレスが見えたキレイな襟足だった「(あの襟足に南条先生の唇が・・・不潔よ、汚らわしいわ!)」思い出したくないことだった。梨絵はそっと目を伏せて母の襟足を見ないようにした車は海から少し入った道を上って行ったこの坂道の上に聖アザレア女学園がある今梨絵の乗る車は重厚な煉瓦の門をくぐろうとしていた梨絵は車のシートで背伸びをした。もう南条のことは忘れよう。そして、十字架の下で清らかな日々を送るのだ「(神さま・・・あたしはもう二度と男の人に憧れたり信じたりいたしません!)」礼拝堂の屋根の十字架は梨絵の新しい門出を祝うかのように青白く光輝いていた
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